288GTOに始まるフェラーリのプレミアムモデルは、愛好家にとって憧れの存在だ。2014年からのコレクターズカーバブルで高騰し、その後も上下しながら高値をキープしている。日本ではプレミアムモデルが店頭に並ぶのは稀で、出てきても”ASK”表示になり、実際の価格を知ることはできない。そこで海外オークションの落札結果から、これまでの価格動向と現在の落札額を紹介する。
文●上野和秀 text by Kazuhide Ueno
写真●ダリン・シュナーベル/RMサザビーズ photograph by Darin Schnabel / RM Sotheby’s
288GTO
コレクターズバブルで大きく値を上げたのが288GTOだ。それまで100〜150万ドルだったものが、2015年に275万ドルに跳ね上がり世界中から注目を集めた。その後200〜250万ドルで推移していたが、2022年には440万5000ドルまで跳ね上がる。2023年になると下落し、今年6月に開かれたオークションでは388万2500ドルで落札された。
F40
生産数が多いF40は、バブル前は100万ドル程度だった。バブル後の上昇も緩やかで、100 〜150万ドルで推移。しかし2021年になると突如289万2500ドルに跳ね上がり、翌2022年には385万5000ドルと急上昇。その後300 〜350万ドルで安定し、今年6月に開かれたオークションでは最近のアベレージといえる347万ドルで終了している。
F50
デビューからしばらくは評価が低かったF50は、バブル前は130〜165万ドルで落札されていた。バブルが始まった2015年に198万ドルに上昇し、2019年には300万ドルに到達。その後も右肩上がりの勢いで、2022年には539万5000ドルに達する。ここをピークに、2023年と2024年に2台が出品されるが、どちらも424万ドルで終えた。
エンツォ
他のプレミアムモデルが値を上げる中、エンツォの値上がりはスローで、バブル期でも250 〜300万ドルだった。2021年ごろから値を上げ、2024年になると最高額となる451万ドルを記録し、6月のオークションでは429万5000ドルで落札されている。
ラ フェラーリ
バブルのさなかに誕生したラ フェラーリは、2016年に517万ドルを記録。その後は300万ドル前後で落札されていた。2023年に407万に達したが、今年6月のオークションでは369万ドルに留まった。
円安の影響は多大
ここでは価格の推移を確認するため、日本円ではなく米ドルで比較した。昨今円安のニュースをよく目にするが、6月10日時点の為替レートで1ドル=157円となる。2015年に288GTOが高値を記録した時は116円に過ぎず、同じ米ドルの落札額でも現在は約35%も多く支払うことになってしまった。
6月のRMデール・ドリームコレクション・オークションにはプレミアムモデルが全タイプ出品された。落札結果は以下の通りで、エンツォ(429万5000ドル/ 6億7432万円)、F50(424万ドル/ 6億6568万円)、288GTO(388万2500ドル/ 6億956万円)、ラ フェラーリ(369万ドル/ 5億7933万円)、F40(347万ドル/ 5億4479万円)と、どれも前年より下落している。