フェラーリジャパンは7月上旬、日本の西部から東部まで約1,000kmに及ぶ「フェラーリ・プロサングエ・ジャパン・グランドツアー」を開催した。このツアーでは、フェラーリの伝統と最新のテクノロジーが融合し、3台のプロサングエが走行。かつてヨーロッパの貴族や文芸作家たちが主にイタリアを目的地として行った「グランドツアー」の精神を現代の日本でも体現したものとなる。
約1週間にわたるグランドツアーのルートは、山岳路、海岸線、高速道路、都市部など、日本の多様な地形と文化を巧みに織り交ぜ、伝統と革新、自然と都市部の調和を体現。プロサングエはこれらの多様な環境で、卓越した走行性能と快適性を存分に発揮した。ここでは第2日目のルートと素晴らしい日本の景色の中を走るプロサングエの写真をご覧いただく。
白川郷の美しさを守る工夫とは
快晴の千里浜なぎさドライブウェイで砂浜走行を楽しんだプロサングエは、南下して岐阜県を目指す。途中高速道路をあえて降り、飛騨の山間を抜けるワインデイングロードを楽しんだ。スポーツカーとまるで変わらないパフォーマンスを発揮するプロサングエを思う存分に堪能したのち、世界遺産に登録された茅葺の街、白川郷へ。現在も茅葺の家が114軒残り、うち60軒は実際に生活の場として使われている。
この地域がユネスコに属く評価された理由は、美しい風景だけではなく、現代でも残る独特なメンテナンス方法である「結」にある。結とは、村人たちが協力して互いの家の屋根を葺き治すことを分担する伝統的な制度で、時代の変化に合わせて技術を継承し、伝統を最良の状態で保っていくことができるように工夫が凝らされている。昔のまま残されているように見える村も、実は美しさを守るための工夫がなされているということだ。
飛騨躙山から乗鞍を抜け松本へと向かう街道では、スポーツカーを走らせるにふさわしい峠道が続く。水を得た魚のようにワインデイングロードを駆けてきたプロサングエは、途中ですれ違いに躊躇うような細いトンネルなどにも遭遇。それでも難なく目的地を目指せたのは、ドライバーとクルマとの優れた一体感によるものであった。
松本市街に入り、江戸時代の威容を今に伝える国宝松本城を右に見つつ、プロサングエー行はこの日の目的地、日本神話に基づく伝説が残る扉温泉に到着。その昔、神たちも訪れて疲れを癒したという地元の湯治場扉温泉に、創業九十年以上という一見祁びた旅館は、一歩中に入れば和と洋、伝統と最新をほどよく融合させた心地よい空間に誂えられており、疲れた旅人の心を踊らせてくれた。
写真 ●フェラーリ・ジャパン