チームによって500人という大人数に複雑な”ボットゥーラ流”をサーブするのだが、この手のガラディナーに手慣れた彼らであるから全く問題ない。パルミジャーノ36 ヵ月クリームのトルテッリーニといったモデナ伝統メニューや、レッドヴェルベッドで固めた『トリブート』と称すストロベリージェルといったユニークな一皿も。そして12チリンドリのプレゼンテーションではフェラーリのスタッフであるかのように、エンリコ・ガリエラらとステージでアジテーションするのだから、彼の存在感も大きい。
「楽しいイベントだった。12チリンドリ最高だね! 注文を入れるかだって? 冗談じゃない、もちろん既に入れているさ。ただ、クーペにするかスパイダーにするかは迷っている。基本的にオープンエアが好みなんだけれどね。君はどう思う?」とテンションの高いボットゥーラ。「リアの造形はクーペが好きですけどね」と答えた筆者のコメントを受け、さっそく彼はフラヴィオ・マンゾーニに電話して、「この日本人はオープンのスタイリングは嫌いと言っているぞ」と笑う。
確かに彼はスパイダーが好きだ。先日、オープンまもなくしてミシュランの3つ星を獲得した宿泊施設、『カーサ・マリア・ルイジア』のジムに併設されたガレージのメインスペースには現在、16Mスパイダーが鎮座している。「これは良い。いろいろフェラーリは乗っているが、モデナ周辺のワインディングを走るのはこれに限る」と最近はこのモデルがお気に入りの様子。
食、クルマ、あらゆる文化においてメイド・イン・モデナを強くアピールし続けているボットゥーラとフェラーリの関係は、ますます強固なものとなっているようだ。
文●越湖信一 text by Shin-ichi Ekko
special thanks to Massimo Bottura
●リストランテ・カヴァリーノ
●カーサ・マリア・ルイジア